民間の「介護の保険」は必要? ~データから考える介護~

少子高齢化が進み「介護」の問題が意識されています。
そのような中で民間の保険会社の商品「介護に備える保険」が大変増えてきました。
お客様からもお問い合わせの多い「民間の介護の保険は必要なのか?」について、令和7年版高齢化白書のデータをもとに考えていきたいと思います。

目次

要介護認定者数の推移

令和7年版の高齢化白書を見ると、高齢者の増加により要支援・要介護認定者の数は増えています。
特別養護老人ホームの入居条件である「要介護3以上」は、要支援・要介護認定者のうち約35%です。

平成27年3月31日以前は、特別養護老人ホームの入居条件は「要介護2以上」でした。
要介護2は、日常的な動作は自分でできるものの、立ち上がりや歩行、着替えなど日常生活での介助が必要です。
同居の親族に介助を頼むことができるならば、施設に入居しなくても済むかもしれません。
しかし、介助をお願いする親族が働いていて日中家に居なかったり、別居していたり、おひとりさまの場合は、要介護2といえど施設への入居が必要になる場合があります。
特別養護老人ホームの入居条件は「要介護3以上」であるため、要介護2以下で施設に入居したい場合は民間の施設を検討する必要があります。

内閣府 令和7年版 高齢社会白書より

高齢者のうち介護が必要な人はどのくらい?

内閣府 令和7年版高齢化白書より

令和7年版の高齢化白書に、要支援・要介護認定者の各年代に占める割合が掲載されていました。
それによると、84歳までは要支援・要介護は全体の2割もなかったものが、85歳以上になると要支援14%、要介護45%と、全体の半数以上が要支援・要介護が必要になることが分かります。

介護と民間の保険の関係は?

令和7年版の高齢化白書のデータからは、確かに年齢があがるにつれ要支援・要介護になる確率が高いことが分かります。
特に85歳以上は半分以上の方は要支援・要介護認定を受けています。

公的介護施設である特別養護老人ホームの入居条件は「要介護3以上」であるため、要介護2以下で介護施設に入居する場合は民間介護施設が選択肢になってきます。
民間介護施設は費用が高いため、介護施設に入居するための資金準備を考える必要があります。
そこで「民間の介護の保険」が選択肢として登場するわけですが、、資金準備は保険でなくても貯蓄でも可能です。

特に掛け捨ての民間介護保険に多くの金額を投じてしまうと、老後資金を減らすことになってしまいます。
介護が必要でない場合、今度は老後資金が不足してしまうという問題が生じてしまいます。

同居する親族などに介護を頼める場合は、民間の介護施設への入居費用は不要でしょう。

しかし、民間の介護の保険を活用するメリットもあります。
介護が必要ということは、自力で金融機関へ行ってお金をおろしたり、振込することが困難です。
かといって本人以外が金融機関でお金をおろすことはできません。
医療・介護施設への費用の振込に関しては、本人以外の親族が請求書を持参すれば振込に応じてくれます(医療・介護施設への直接振込のみ)
医療費・介護施設への費用振込以外の引き出しは本人でしか行えません。
ここで、民間の介護の保険に加入していた場合、要介護2や要介護3といった保険金給付条件に該当すれば、あらかじめ指定した「指定代理人」が保険給付金を被保険者の代理として受け取り、被保険者の介護費用や付随する支払いに充てることができます。
民間の介護の保険のメリットは、資金準備というより「指定代理請求人」を指定して本人の代わりに受け取ってもらえることが大きなメリットと考えています。

もうひとつ、メリットをあげるならば「介護のため」というお金の色分けができることです。
貯蓄性の民間の介護保険の運用効率は良いとは言えませんが、保険であることの「拘束力」を利用して介護資金準備ができることがメリットとして考えられると思います。

民間の介護の保険については、介護資金準備ならば貯蓄でまったく対応可能です。
高齢者全員が介護が必要となるわけではないので、掛け捨ての民間の介護の保険に加入すると、老後資金を減らしてしまう可能性があります。
保険の機能である「指定代理請求人」や「拘束力」を利用するという目的で、民間の介護の保険を利用するのはアリだと思います。

金融機関の代理人制度も登場

昨今では「代理人制度」を提供する金融機関も増えてきました。
金融機関によって「代理人制度」「代理人サービス」など名称はさまざまです。
代理人制度は、認知・判断機能が低下して預金の引き出し等ができなくなる場合に備え、契約者本人に代わり取引ができる代理人を指定するサービスです。
代理人指定後も契約者本人による取引は可能ですが、認知・判断機能の低下後は申し立て等※により代理人による取引が利用できるようになります。
※金融機関によっては医師の診断書提出が必要。

代理人が取引できるケースとしては
・認知・判断機能の低下の場合
・認知症と診断された場合
2つのケースがますが、どちらも認知・判断機能が正常な時にサービスの締結をします。

金融機関によって、
・認知・判断機能の低下の場合から代理がスタート
・認知症と診断されてから代理がスタート
などの違いがありますので、よく確認をして下さい。

金融機関の代理人制度を利用することで、介護の保険の「指定代理請求人」と同じように、本人に代わってお金をおろして本人のための支払いに充てることができます。
金融機関の代理人制度は「無料」であることが多いので利用もしやすく、介護の保険を使わなくても済みそうです。

老後の生活費確保が精いっぱいで、介護の保険にまわせるだけの資金的余裕のない方は、代理人制度の方が合っているでしょう。

保険屋さんに介護資金の相談をすると、どうしても「保険」のみ提案されてしまうことになってしまいます。
介護資金の相談は、まずご自身が利用している金融機関のサービスをチェックすることから始めることをおすすめします。

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