2024年は新NISAが始まったこともあって、NISAやiDeCoのセミナーを数多くさせていただきました。
意外なことに、セミナー後の個別質問タイムで必ずいただく質問があります。
「今入っている○○保険(←外貨や変額)はいいものですよね?」
理解し納得してその保険に加入されたと思うのですが、NISAやiDeCoのセミナー後ということで、保険よりNISAやiDeCoの方がベストプランだったのでは?と考えがおよんだのではないかと推察します。
「保険で資産運用」というセールストークを聞くことが多くありますが、保険を活用した資産運用は、主に「貯蓄型保険」や「投資型保険」などが該当します。これには独自のメリットとデメリットがあり、状況や目的に応じて判断することが重要です。以下にそのポイントをまとめます。
目次
保険で資産運用するメリット
- 保障と運用が一体化
- 保険は死亡保障や医療保障などの保障があるので、資産運用を組み合わせて。一石二鳥という捉え方もできます。
- 税優遇の活用
- 生命保険料控除や個人年金保険料控除を利用するができます。
- 相続税対策として生命保険金の非課税枠を活用できます。
- 強制力がある
- 定期的に保険料の引き落としがあることや、「保険だから簡単に解約してはいけない」というイメージの刷り込みによって、強制的な貯蓄手段として機能する側面もあります。
- 元本保証の商品がある
- 貯蓄型保険(例: 終身保険や個人年金保険)のうち、円建で元本保証や一定の利回りを提供する商品はリスクが低めです。
- 長期的な運用に適している
- 保険商品は長期的な契約を前提としているため、老後資金や教育資金といった色分けをして準備することに向いています。
保険で資産運用するデメリット
- 流動性が低い
- 契約期間中に解約すると元本割れのリスクが高く、資金を柔軟に引き出せない場合があります。
- 資産運用の資金をすべて保険にしてしまっている場合は、資金が拘束されてしまいNISAやiDeCoなど他の方法に回せなくなってしまいます。
- 手数料が高い
- 保険料には運用コストや保障コストが含まれており、純粋な投資商品と比較すると手数料が高くなりがちです。
- 特定口座やNISAで売買されている株・債券・投資信託等の手数料や市場価格はオープンに明示されていますが、保険の手数料はブラックボックスです。
利回り計算をすると手数料が割高なことが分かります。
- 利回りが低い場合がある
- 円建の貯蓄型保険の利回りは、一般的に投資信託や株式投資などのリスク商品より低めです。インフレに弱いこともあります。
- 商品の複雑さ
- 特に保障部分と運用部分が組み合わさっている投資型保険はリスクの理解が難しいことがあります。
- 為替や投資信託の変動リスク、市場価格調整など完全に理解ができていない方も多く、時間が経つと不安になる方が多くいます。
- 早期解約のペナルティ
- 契約後数年以内に解約すると、解約返戻金が著しく少ないことがあります。
保険で資産運用するのが向いている人
- 保険の機能を活用したい人
- 受取人や指定代理請求人を設定できるので、遺言や代理人サービスに似た利用ができます。
- 相続税対策の生命保険の非課税枠が活用できます。
- 保険募集人にお任せしたい人
- 保険での運用は投資効率が低いとは分かっているけれど、金融商品購入手続きを手間に感じる方にとっては、保険募集人がすべて手続きしてくれる貯蓄型保険は便利です。
- 頻繁に株や投信の運用状況をチェックし、少しでも下がると錯乱してしまう方は、保険の運用状況は簡単に分からないことが多いので気にしないで済みます。
- 外貨建商品の場合に、円と外貨に替えたり、投資信託や債券を買ったり、というプロセスが保険契約のプロセスに内包されています。
- 保障目的で加入している保険もある場合は、担当の保険募集人が信用できれば資産運用も保険でまとめてお願いができます。
貯蓄型保険の注意点
保険を資産運用に活用する場合は、自分の目的や状況に合った商品を選ぶことが重要です。
理解ができない保険商品を買ってしまうと、のちのち後悔することになりかねません。
保険商品は多岐にわたるため、以下の点を事前に確認しましょう。
- 保険料の内訳(運用部分と保障部分)
- 運用利率やリターンの仕組み
- 解約返戻金の計算方法
- 商品のリスク(とくに投資型保険)
まとめ
保険で運用するよりも、NISAなどを活用して株や投資信託で運用した方がコストが低く投資効率に優れています。
しかし、保険料控除や相続税の非課税枠を使用したい場合や、受取人を指定したいなど、保険の機能を活用したい場合は貯蓄性保険をふくめた生命保険が適しています。
資産運用に関して「楽におまかせしたい!」という方にとっても、貯蓄性保険はアリかもしれません。
私がセカンドオピニオンする際は、投資効率だけでなく、その方が資産運用にどれだけ関わることができるかも確認しています。