ファイナンシャルプランナー(以下FP)は、個人や企業の資産運用や家計管理、ライフプランニングのサポートをする専門職です。
例えば、教育費や住宅ローン、老後の資金計画、保険の見直しなど、幅広い分野でアドバイスを提供します。FPは、人生のさまざまなステージでお金に関する悩みを解決するパートナーとして、多くの人々にとって欠かせない存在となっています。
そのFPですが、大きく分けて「企業系FP」と「独立系FP」の2つに分けられます。
企業系FPと独立系FPの違い
ネットで検索すると、企業系と独立系の分け方が2種類あります。
- 企業系FP ・・ 一社の金融商品しか扱わないFP
- 独立系FP ・・ 複数社の金融商品を扱うFP
- 企業系FP・・ 金融商品を取り扱う(金融商品を販売する)
- 独立系FP・・ 金融商品を取り扱わない(金融商品を販売しない)
どちらが正しい分け方なのか、明確な定義はありませんので、判断はみなさまにお任せします。
私が考える企業系・独立系の棲み分けは後者の「金融商品を取り扱うか、取り扱わないか」です。
「金融商品を取り扱うか、取り扱わないか」の観点で、企業系と独立系を比べてみます。
企業系FP
企業系FPは、金融機関や保険会社、不動産会社などに所属し、その会社の商品やサービスを販売しながら顧客にアドバイスを行うFPです。
特徴
- 所属する企業の商品を中心に提案することが一般的。取扱い商品は1社の場合も複数社の場合もある。
- 初回相談やキャッシュフロー表作成などのサービスが無料で提供されることが多い。
- 商品販売が主な収入源となる。
メリット
- 無料でアドバイスを受けられることが多い。
- 所属企業の商品に詳しいため、特定分野での知識が深い。
デメリット
- 提案内容が特定の商品に偏る可能性がある。
- 販売ノルマなどが影響し、顧客のニーズが十分に考慮されない場合もある。
独立系FP
独立系FPは、銀行や保険会社、証券会社といった金融機関に所属していないFPです。
金融機関とは資本関係がなく、金融機関から完全に独立していることから、「独立系」といいます。
特徴
- 特定の商品を販売する義務がないため、中立性が高く、顧客にとって最適な提案ができる。
- さまざまなサービスを取り扱うことが可能。
- 主に相談料や手数料で収入を得るため、販売ノルマなどのプレッシャーが少ない。
メリット
- 顧客のニーズに合わせた提案がしやすい。
- 客観的なアドバイスを受けられる。
デメリット
- 費用が発生する場合が多く、無料相談が少ない。
- 経験や知識の差が大きい場合がある。
独立系FPは少数
日本FP協会のCFP、AFP資格保有者の業種別属性データを参考にみてみます。
日本FP協会の2024年5月のデータによると、保険・証券・銀行などの金融機関に所属している企業系FPが半分以上を占めます。
保険業法等の一部を改正する法律(2014年5月23日)により、雇用関係のある社員しか保険の販売ができないため、保険販売できるFPは「独立系FP」とうたっていても保険代理店の社員です。
保険を販売しないFP事務所は1割も満たない状況です。
どちらを選ぶべき?
FPを選ぶ際は、自分の目的や状況に応じてどちらが適しているかを考えることが重要です。
特定の商品やサービスについて詳しく知りたい場合は、その商品・サービスの取扱いがある(金融商品の販売ができる)企業系FPに相談するのが早いでしょう。
例えば、特定の保険商品や住宅ローンについて相談したい場合は、取扱いのある保険会社・保険代理店や金融機関に所属する企業系FPが適しています。
中立的なアドバイスを重視したい場合は、独立系FPがおすすめです。
特に資産運用や保険の見直しなどで複数の選択肢を比較したい場合に適しています。
まとめ
独立系FPと企業系FPにはそれぞれの強みと弱みがあります。
ご自身の目的に合わせて選択されるといいと思います。
ちなみ私はどちらも経験した結果「独立系FP」を選びました。
企業系FPが敬遠する、金融商品提案に結び付かない相談業務(財産管理、相続、離婚、経営など)ができること、中立なアドバイスができることに満足しています。
しかし、保険の見直しの中で保険提案ができなかったり、資産形成アドバイスの中で投信などの金融商品の販売ができなかったり、といったジレンマはあります。
(お客様が利用している金融機関や、ネット証券でお手続きされるようお伝えしています)